身体や病気についての知識

がん(癌)になるまでの道のりは、意外なほど長く険しい

2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作の「がん消滅の罠 完全寛解の謎」を読みました。

この作品のがんについての説明がなかなか興味深いので、シェアしたいと思います。
(ちなみに、著者の岩木一麻さんは国立がん研究センターや放射線医学総合研究所などで研究に従事した経歴をもつ、がんの研究者です)

「2人に1人はがんになる※」という通説があることから、がんという病気を極端に怖れている人も少なくないようですが、情報に振り回されないようにするためにも、がんになることが「意外と難しい」ことを知っておいて損はないと思います。

※2人に1人という数字が当てはまるのは、あくまでも高齢の方々です。
詳細は以下のページのグラフを参照してください。
http://toyokeizai.net/articles/-/87744?page=2

がんとはいったいなんなのか?
という問いに、夏目という登場人物こう答えます。

「多細胞生物の定め、あるいは反逆した自分」
101P

原初の生物はもともと単細胞生物でしたが、ある時、細胞が寄り集まって群体として生活する生物が現れました。

初めはただ集まっているだけだった群体は、進化の過程でどんどん洗練されていき、細胞ごとに分業を行うようになりました。

身体を動かすための細胞、栄養を吸収するための細胞、呼吸をするための細胞、次世代の個体を作りだすための生殖細胞といったかんじです。

分業体制がしっかりしてくると、細胞は無秩序に増殖するわけにはいかなくなります。

例えば、血管の壁を作る細胞が無秩序に増えてしまうと、増えすぎた細胞によって、管が塞がってしまい、管として機能しなくなってしまいます。

そうならないように、細胞同士は連絡を取り合い、必要な時以外には勝手に増殖しないようになっているわけです。

ケガをして傷ができてしまったような時も、その傷の周囲の細胞は活発に増殖し、失われた部分を埋めます。
そして、傷が塞がった時点で細胞の増殖はピタリと止まる。

これが、私たち多細胞生物の基本原理です。
つまり、細胞の増殖のサイクルにはいくつもの厳重なチェック機能があり、「無秩序な増殖が起こらないようになっている」ということです。

しかし、いろいろと生きづらいこの世の中で、心身を酷使しながら生きていると、なぜか、生命の設計図であるDNAの配列が変化してしまい、細胞が増殖する方向にアクセルを踏みこみすぎてしまったり、ブレーキがきかなくなってしまうなどのエラーが起こってしまう人がいます。

しかし仮にそういったエラーが起こったとしても、人間の身体には、そういった問題にも対応できるバックアップシステムが備わっています。

そして、そのバックアップシステムさえ突破されたとしても、傷ついてしまった細胞は、アポトーシスというプログラムによって、自殺するように設定されており、更にそのプログラムが突破されてしまった場合にも、周囲の細胞が、がん化しようとしている細胞を殺そうとするそうです。

それ以外にも、普通の細胞は、予め増殖(分裂)する回数の上限が決まっていて、その回数を超えると増殖できない(がん化しない)ようにプログラムされていたり、もちろん、免疫系もがんを攻撃してくれます。

それはもう、至れり尽くせりなわけです。

「がんへの道は長く険しい」
P103

これは夏目とがんについて話していた時の奥さんの言葉です。
ちょっと大げさな表現だとは思いますが、自分たちの身体に、これだけ精密なガン化を防ぐためのプログラムが備わっているということについては私も驚きました。

そして同時に、これだけ精密なチェック体制をくぐり抜けてしまうがん細胞という存在に不気味さを感じました・・

冒頭で「多細胞生物の定め、あるいは反逆した自分」という文章を引用しましたが、これだけの安全対策が備わった身体の中で、周到なまでにがん化のプロセスを押し進めていく様子は、たしかに自分の細胞が自分に反逆しているようなものなのかもしれません・・

今回、私が強調したかったのは、「がんへの道は長く険しい」ということで、私たちの身体には、ものすごく精密なガン化を防ぐためのプログラムが備わっているということです。

ですから、極端にがんを怖れる必要はないと思うんですが、多細胞生物である限り、細胞分裂を何度も繰り返していく(長く生きていく)限り、いつかはそのシステムを正常に維持できなくなる時がくるのはある意味定めのようなものですから・・

ある程度の年齢になってからは、このプログラムが正常に機能しなくなるような偏ったライフスタイルを送らないように気をつける必要はあるかと思います。

個人的には、がんの原因としてストレスや冷えが密接に関係しているのではないかと考えています。

女性特有のがんとして、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどがあり、心配になる方もいらっしゃるかと思いますが、不安を不安のまま放置するよりは、何かセルフケアを行うことで不安を軽減させるほうが健全な対応だと思います。

冷えやストレスに効果的なセルフケアにご興味がある方は以下の記事をご覧ください。

〇関連記事
頭寒足熱・冷えとり療法

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